諏訪湖一周ツーリング(Feb. 25, 2010)

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 昨日でようやく仕事も一段落した。陽気の急に春めいて来た。今日も昨日のような陽気ならばツーリングには最適だろう。
 めずらしく7時前に目が覚めた。朝食前に軽く散歩することにする。空模様は期待したようではなく、八ヶ岳南アルプスも灰色の雲に埋もれている。朝だから風が冷たいのは当たり前だが、それにしても少しばかり気温が低いようだ。小一時間散歩している間に、雲に隠れていた甲斐駒ケ岳北岳に朝日があたり、白く薄らと浮き出して来た。小学生が列をなして通学しているのが小さく見える。
 朝食をすませて9時に家を出る。何度もキックしたのにエンジンがかからず汗をかいてしまった。今日の目的地は漠然と松本を考えていた。引っ越してすぐ雨の降る中を車で美ヶ原温泉蕎麦屋みやまへ行ったが、そのときに走った県道をオートバイで走りたかったのである。蕎麦やラーメンよりも今日はその県道を走ることがメインだ。住まいが西へ150キロほどずれたのでこれからは信州がツーリングの中心になりそうだ。
 七里岩ラインへのアクセスは、わが家のある小荒間からは県道609号線で長坂駅近くまで下るのが順当なのだが、今日はわが家のすぐ下を東西に走っているレインボーライン小淵沢方面へ走り、冬の間車で走って覚えた小淵沢のアウトレットから富士見へ抜ける県道を走ることにする。道の脇にはまだ残雪も見られたが、道路はまったく問題なかった。
 空は晴れてきたが、期待どおりに気温が上がらない。上半身はよいのだが、下半身が冷たい。見るとズボンの丈が短くて風が入って来るのだ。防寒仕様のズボンだが、ツーリング用ではないから丈を長めにとることをしなかったのだ。
 視界を遮る雲がなくなったので南アルプス八ヶ岳の山々が左右に見え気になってしかたがない。急ぐ旅でもないし、新しい道を覚えたいということもあって、何度か脇道に逸れ山の写真を撮ってまた引き返すことを繰り返す。10年ぐらい前にはダートだった道や存在しなかった道が通じているので八ヶ岳の姿を追いながらまったく交通のない森の中の道を上って行くと、富士見高原に出た。このご時世だが、別荘地の開発が盛んで、森の中には至る所にまだ木の香りのしそうな別荘が見え隠れする。路傍の残雪が多くなった。しかし、道路には雪がないからなんとかなるだろうと高をくくって先に進むと、雪が溶けきらず道路の残っている場所に遭遇した。車の轍を慎重に進むが、よく見ると、雪が溶けて濡れていると思われたところはどうやら凍っているらしいのでギョッとする。さすがに先に進むのが怖くなり、Uターンすると、長い坂道をひたすら下って七里岩ラインへもどる。
 七里岩ラインはまったく問題ないが、風は冷たいし、どこに危険が潜んでいるかわからないので、松本行きはきっぱりと断念した。茅野市から国道20号線諏訪市へ行き、諏訪湖を一周して帰るというルートを思いつく。諏訪湖周辺へは何度も来ているがまだ一度も諏訪湖を廻ったことはない。それに諏訪市内の河内屋で蕎麦とあの美味い焼き鳥を食べるという楽しみもあろうというものだ。
 国道20号線諏訪市内に入る。いつも走る度に思うのだが、一度諏訪の町をゆっくり歩いてみたいものだ。昭和のにおいのするくすんだ街並がたまらない。
 湖畔に出たので少し休もうとSRを舗道に停める。湖の面はにぶく空を映している。湖畔に長大な望遠レンズをつけたカメラが並び、中高年のカメラマンたちが群れている。近くでカメラの準備している人に、何を撮るんですかと聞けば、大鷹だという。湖水にはカモなどの水鳥が浮かんでいるだけだ。カメラマンの仲間の女性が近づいて来て、写真集があるから見せてあげるわという。写真集と言っても、素人カメラマンが撮影した写真やチラシ、新聞記事などをスクラップしたものだったが、女性はいかにも誇らしげに説明してくれる。何年か前にその大鷹は湖に落ちて動けなくなっているところを救われ、養生して再び放たれたのだが、以来、毎年湖にもどってくるようになったのだという。一種の美談として諏訪市ではよく知られているようで、写真集を開いていると、散歩途中の人たちが覗き込み、写真に感嘆の声を上げるかと思えば、大鷹を助けたのは私の小学校の同級生よという老女までいる。
 写真集の大鷹を携帯のカメラで撮影させてもらう。女性はいかにも諏訪湖のことに詳しいようなので御柱祭りのことや万治の仏像のことなどを質問すると快く教えてくれる。長坂から来たと言うと、あの辺りはいいところよねえ、住み易そうでと褒めてくれるので、こちらも八ヶ岳南麓の自慢をする。
 時刻は11時半。湖畔を一周すればちょうど昼飯時だ。反時計回りに走る。湖畔にはぐるっと遊歩道ができており、市民や観光客が三々五々散策している。車の通れる道路も湖畔からほとんど離れることがなく、静かな湖面や対岸のホテルなどのビル群、その向こうに聳える八ヶ岳などを眺めながら走るのはなかなか楽しかった。
 さて、河内屋だが、非常にわかりにくいところにある。しかも一方通行の道路などもあってさらに判り難くしている。諏訪市大手というからまさにお城の近くて、ここもまたなかなか雰囲気のある場所である。河内屋の場所はナビが見つけてくれたが、しかし、ああ、残念、本日は都合により休業させて頂きますと張り紙がしてあった。蕎麦と焼き鳥の組み合せを道々イメージしつばを飲み込みながら走って来ただけに落胆は大きかった。
 しかし、いくら落胆してもしかたがない。そこで気持ちを転換、いつか行きたいと思い携帯に住所を保存しておいた茅野市の登美という蕎麦屋に行ってみることにしたが、今日はここも休業だった。仕方なく入った蕎麦屋もレベルは高かったけれど、申し訳ないがただ空腹を満たしただけになってしまった。