空腹を抱えながら3つの峠を越す(Jul. 17, 2011)

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 今日ぶどう峠を越えて上野村に行こうと思ったのは、木曜日のSくんとのツーリングがきっかけと言えばきっかけだが、以前から国道141で海ノ口を通りかかると、北相木・南相木という標識とまだ造られてさほどたっていない立派な橋と、橋から山に向かってまっすぐに延びる道が気になっていたからだ。いつか走りたいと思いながらそこを通り過ぎるばかりだったのは、たいていツーリングでどこかへ向くときや帰宅を急いでいるときだったからで、木曜日に南相木を走ったことで、今回最初からそこを目的地とするきっかけをつかんだわけだ。
 海ノ口からのその新しい道はよく整備されていて、あっけないほど簡単に木曜日に走った県道2号線に合流した。2号線を川上村方面に1キロほど走ると、やはり木曜日に走りながら確認した北相木に抜ける道があり、さほど険しくない峠(トンネル)を抜けるとこれまたあっけないほど簡単に北相木に出た。ここまで来れば後はぶどう峠を越えて上野村は抜ければよいので簡単だ。かつて、十年以上前に初めて上野村を訪ねたときにはぶどう峠が険しいこと、浮き砂などがあって危険だとおどかされた記憶があるが、険しいことは険しいけれども、そして浮き砂も見られたけれども、道路に問題はなく、明るい木漏れ日が降り注ぐ山道は爽快だった。峠では3人のライダーが休憩していた。通り過ぎるオートバイや車もそこそこある。記念に写真を撮り、魔法瓶の冷たいウーロン茶を飲んですぐに出発した。群馬県側も道路状況は悪くない。下るにつれて風が熱くなる。
 上野村の特産物などを売っている施設で休憩。昼も過ぎ食事時だったが、セルフサービスで食器台に置かれた汚れたカレーの皿を見たらあまり美味そうでなく食欲が失せた。しかし、ここで食べなかったことで後5時間空腹を抱えて走ることになるとは夢にも知らなかった。せめて栄養のあるものを口に入れようと、S]くんの真似をしてソフトクリームを食べる。
 上野村の地図を見ていたら、まだ走ったことのない道が描かれており、西沢渓谷に至るとある。もしやクリスタルラインを経由して山梨の西沢渓谷に抜ける道があるのかと思い、念のために店の女性に聞くと、名前は同じだが群馬の西沢渓谷だという。がっかりである。しかたがない、それでは十国峠を越えて帰るかと言うと、女性もそれが無難でしょうという。
 十国峠を越えるのは久しぶりだ。途中の狭隘な、木々のトンネルを抜けていくような道は十年前と少しも変わってないように見える。夏でも涼しいいい道だ。十国峠もいつもの十国峠だ。写真を撮るためにオートバイを下りるが、写真を撮っている間も車やオートバイが次々と往き来する。
 十国峠を佐久まで下り、国道141号線に合流せずに、千曲川の手前で左に折れる。国道141は追い越しもできず淡々と走ることを強いられる退屈な道なものだから、バイパスとして使えるルートを開拓したかったのだ。走り始めてすぐその道が木曜日に走った県道2号線であることを知る。集落や田畑の間を抜けていく道で、スピードは出せないが、国道141号線よりも楽しい道だ。小海線に沿っているところもよい。踏切を2度、3度渡る。月はどっちだ、ではなく、小海線はどっちだである。やがて木曜日にSくんと待ち合わせした小海駅前に出た。駅の先で県道2号線に別れを告げて、千曲川の右岸を少し走り、海ノ口大橋を渡って国道141号線と合流した。
 ここで木曜日にSくんと最初の待ち合わせ場所として選んだものの休業日で食べ損なったストローハットという食堂を捜すが、どうにも見つからない。インターネットの情報を印刷したのに持って来るのを忘れたのだ。仕方なく食事はとりあえず諦めて、松原湖方面に行ってみることにした。左手に八ヶ岳が見えるが、どうやらいつもわが家の辺りから見ている八ヶ岳の裏側に当たるようだ。温泉施設があり、食堂があれば昼食を食べようと思ったが、えらい混みようなのでここでも食事は断念する。
 さらに道を上っていけば、国道299号線に合流し、麦草峠に至るようなので、もう引き返そうかとも思ったが、ここまで来てしまったんだ、えい、ままよ、と、ここで麦草峠を越えて茅野に下ることに決めた。食事は山の上にもあるだろう。
 道が国道299号線と合流する地点にたびたびお世話になった食堂があった。そこで食べようと思っていたが、二十数台のオートバイグループに先を越され、これはまた待たされそうだと思ったのでここでも食事は断念した。
 麦草峠が近づけば近づくほど涼しいを通り越して肌寒くなってきた。それと目には見えないが小雨も降っているようだ。頭上に不穏な雲がある。峠の標識を写真に撮り、休憩もせずに峠を越す。
 峠を下りながら蕎麦屋でもあれば遅い昼食を食べようと思うが、もうほとんどの店が昼の営業を終えて準備中の看板を出している。開いていそうな店がないこともなかったが、何となく気が向かない。結局、気づけば茅野市まで下っていた。
 結局、午後5時、家の近くのカフェでサンドイッチにようやくありつけた。
 今日のオートバイはヤマハSRである。走行距離は212キロと大したことなかったが、険しい峠を3つ越したのでさすがに疲れた。