幻の富倉蕎麦を食べに行く(Sep. 10, 2011)

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 携帯電話の電話帳に「ツーリング食事」という分類で各地のうまいもの処の電話番号や住所を保存している。実際に自分の舌で確かめて美味いと思った処を保存することもあれば、雑誌やテレビやインターネットの情報などで興味を持ちいつか行って食べようと保存しておく場合もある。幻の富倉蕎麦を食わせるというはしば食堂やとみくら食堂のことはどのようにして知ったか忘れてしまったが、だいぶ前に何かで情報を得てそのときに電話帳に保存したのだった。
 今日朝起きると天気が良かったので、ツーリングに行こうと決めたのだが、どこへ行くかは出発の直前まで決めかねていた。いつものように走り始めてからあれこれ考えて、長野県北部辺りを目指すことに決めたのだが、そうしたら、数日前にテレビで紹介されていた富倉蕎麦のことを思い出した。かなり距離があるが、これはもう食べに行かずにはいられなくなった。
 家を出たのが9時半。今回もなるべく高速は利用しないことにしたので、茅野市からは国道152号線を北上する。丸子や上田の街は暑くて苦しかったが、何とか耐えてさらに北上する。しかし、そのまま下道を走っていては到着が午後の2時、3時になりかねないので、上信越自動車道の上田菅平インターから豊田飯山インターまでは高速を利用した。
 豊田飯山インターからは千曲川に沿う国道117号線を北上、途中、国道292号線で富倉へ向かう。交通量のあまり多くない山道を進んで行くと、急に霧が出てきた。空模様も暗くなり何かあやしい。と、道路に「はしば食堂」の看板が出ていたが、食堂はさらに狭い山道を進まねばならず、大型オートバイで大丈夫かと不安になる。しかし、しばらく上って行くと、いかにも雪国新潟の農村の特徴を示す家々が急な斜面などにあり、小さな集落をなしていることがわかった。数台の車が道路脇に停まっており、どうやらそこがはしば食堂の駐車場らしい。実際に、そこから少し離れたところにごく普通の民家にしか見えないはしば食堂があった。
 オートバイを車の脇に停めようとすると、食堂の前でおばあさんがこっち、こっちと手招きしている。どうやら店の前に停めろということらしいが、遠目にもいかにも狭そうなのではたして帰りにオートバイを出せるかどうか不安になる。しかし、こっち、こっちとおばあさんが相変わらず手招きしているので、もしもの時には誰かに押してもらえばよいと道から細い急な坂道を下って店の前まで行く。狭くてUターンが難しそうだし、よほど慎重に取り回さなければ、石垣から下の小さな谷川に落ちてしまいそうだ。おばあさんにオートバイを回転させる場所があるかと聞くと、奥にあるという。どうやら意外に庭は広そうだ。
 普通の玄関で靴を脱いて家に上がる。座敷には四角い小さなテーブルがいくつか並んでおり、4組ほどの客がすでに席についていた。1200円(メニューには1200円とあったが実際には1300円だった)のざるそばの大盛りを注文する。富倉蕎麦というのは、雄山火口(オヤマボクチ)という山ごぼうの葉を乾燥させて粉にしたものをつなぎに使っている蕎麦である。出されて来た蕎麦を見ると、普通の蕎麦よりもつやつやしており、食べるとコシがありつるっと喉を気持ちよく通って行く。汁も甘からず辛からずちょうどよい。うまい蕎麦だった。
 帰途は、妙高へ抜け、ここでもなるべく高速は利用せずに、国道18号で長野市を目指す。途中、しばし野尻湖で休憩した後、猛暑の長野市まで国道を走ったが、さすがに体力がもたないと不安になったものだから、須坂長野東インターから高速を利用した。