ザンデルリンクは価値破壊にも負けることはない

2005年10月9日(日)

 午後3時、息子と一緒に淵野辺のディスク・ユニオンへ。2日前に行ったときに迷って買わなかったCDがにわかに欲しくなり、居ても立ってもいられなかったからである。
 CDとはKurt SanderlingのLegendary Recordingsという16枚組で、価格は値引きもあって4千円もしなかった。1枚につき250円もしなかったということになる。ブラームスが入ってなかったのは残念だけれども、最近凝っているシベリウス交響曲が全曲、じっくり聴きたいと思っているショスタコービチの交響曲が第1番、第5番、第6番、第8番、第10番、第15番と収められてあるのはありがたく、その他、ボロディン交響曲第2番、フランクのニ短調交響曲マーラーの9番などが含まれていた。
 2週間ほど前には近くのブックオフでやはり250円のクラシックCDを40枚ほど買ったばかりである。かつてその10倍の値段で買っていたことを思うと嘘のような話だが、それら名盤の誉れの高いCDをそんな安い値段で買えることが嬉しかったかといえば、そうでもない。物にはそれ相応の値段というものがあり、CDの価格は常々高いとは感じていたが、250円となると話は別である。それは、価格破壊というよりも、価値破壊だろう。悲しく、寂しくなった。もっと正当に評価しろよと、悔しく、憤ろしくなった。とはいえ、安いとなればついつい飛びついてしまうのは根が卑しいのだから仕方がない。
 夕食後、ザンデルリンクがベルリン交響楽団を指揮したシベリウスの第1番を聴いてみた。価値破壊はあったが、250円であれ、2000円、2500円であれ、スピーカーから流れる音は同じである。シベリスの初心者には、シベリウスの模範的・正統的な演奏、あるいは理想的な演奏がいかにあるべきかわからないが、今まで聴いたどの1番よりも感動した。