越前海岸ツーリング(3日目)2

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 福井から大野への国道158号線はかなり交通量があり、ここでもしばらく退屈な時間を過ごさざるを得なかった。電柱に旅館阿さひの宣伝プレートが貼り付けてあるのを見て、大野が近づいたのがわかり嬉しかった。
 町は真上からの陽に容赦なく照り付けられて閑散としていた。福そば本店の近くにオートバイを停めて店に入ると、比較的広い店内は時間も時間なのでがらんとしている。奥のほうに客が一人いるだけだ。おろしそばの大盛りを頼む。どんぶりにそばはもられており、鰹節と薬味がのっている。おろしは初めから汁に入っており、さっぱりとしたぴりからが食欲をそそる。大盛りにしては量が控えめだったので何か物足りない感じが残ったが美味しかった。壁にさといもと書かれたメニューが貼り付けてあり、よほど注文しようかと思ったがやめて先を急ぐことにした。
 大野市から九頭竜湖を経て白鳥までの国道158号線を走るのは今年三度目である。しかし、先に書いたように、福井から岐阜に向かって走るのは初めてである。風景を反対方向から見れば新鮮な驚きや発見があることはよくあることで楽しみだ。やはり大野市から九九頭竜ダムに至るまでの深い渓谷の辺りが最高で、見上げると両側の緑濃い山々の上に青空が進行方向を示すように続いている。連続するスノウシェッドもすてきで、川の方は壁が列柱のようになっているのだが、差し込む陽の光が路面に縞模様を作り、連続して発光と消光を繰り返すものだからあたかも催眠術にでもかかったように不思議な宇宙空間を滑走しているような幻覚にとらわれた。
 和泉村の道の駅の前を通過する。そこから先はダムに向かって急な坂道になるのだが、前方を2台の大型トラックがふさいでしまった。後方のトラックは折あれば前方のトラックを追い抜きたい様子を見せていたが、前方のトラックはなかなか道をゆずらない。しかし、ついに根負けした前方のトラックは道路脇の駐車スペースに入り、後方のトラックはこのときとばかり追い越し、それから飛ばすこと飛ばすこと、九頭竜湖の湖岸道路を高速道路並みのスピードで走り去っていく。最初こそこちらも同じスペースで走っていたが、追いつけそうにないし、追いつく気持ちもなくなったので、湖の風景を眺めながら適当なスピードで走った。それにしても、今日は車も人も少ない。時間帯にもよるのかも知れないが2日前はもっと交通量があった。
 猛烈に飛ばしていたトラックが駐車スペースに停まっていた。運転手がちょうど運転台から下りてくるところで、地面に下りるとズボンの前に手をやっていたから小用らしい。だから飛ばしていたのかと勝手に想像して笑ってしまったが、実際にはちんたら走っていたら商売にならないのだろう。
 ようやく白鳥に到着した。ここで下道に下り、郡上八幡まで走ったら後はせせらぎ街道を経由して飛騨高山に向かう楽しい計画を立てていたが、時刻が時刻なのでそのまま高速を利用することにした。東海北陸自動車を利用するのは初めてではないが、まだ一部分開通した何年も前のことだからまったく初めても同然だ。道路は。山の中腹や頂上付近のかなり海抜の高いところを走っており、当然眺めは悪くないのだがなぜか面白みのない道である。とろこどころに譲り合いの車線や追い越し車線があるが、片道一車線というのが走りに余裕を失わせるのだろう。景色を眺めながらゆっくり走りたくとも、ゆっくり走っていれば後方から次々に急ぐ車が迫ってくる。反対に、急いでいると、すぐに前の車に追いついてしまいいらいらする。
 高山に近づくと急に車が増えた。高速道路が終わり、そこから高山市街までは一般道なのだが、ここは高速道路ではありませんの標識があってもドライバーたちはおかまいなしだ。高速道路のようにぶっ飛んでいく。
 高山市内で今度の旅で2度目の給油をする。福井から延々と国道158号線を走ってきたが(一部高速は利用したがそれは国道158号線と重なっている)、国道158号線のことを知るにつけ、それが松本まで延びており、松本までまだまだ158号線と付き合うのだと思うと何か特別な愛着を覚える。高速道路は便利には違いないが、いつまでもこのような国道が残っていて欲しいものだ。
 飛騨高山から平湯方面に走る。陽は山陰に隠れて見えなくなったが、西を向いた山々が明るく輝いている。空気がたいぶ冷えてきたので給油のときにベストを着てきたのは正解だった。帰途、夕暮れに走ることが多いからだろうか、飛騨高山から平湯辺りまで走っているといつも何ともいえぬ寂しさを覚える。
 100円玉6枚をコイン受けに投げ込んで阿房トンネルを抜ける。ここからはいつものように松本まで列をなす車の後を淡々と走るだけだ。単調で退屈なので3日間の旅のあれこれが次々と思い出される。達成したこともあれば、見逃したものや行き損なった場所もある。もう次のツーリングはどこに行こうかと考えている。とりあえず明後日の土曜日は弟を誘ってどこか走ろう。そんなことを考えていると、やがてやっと松本インターに到着する。
 時刻は午後6時を過ぎた。諏訪湖SAで最後の休憩をすることにする。だいぶ日も暮れ、諏訪湖の湖面に夕焼けが照り映えている。帰宅は8時半ぐらいになりそうなので簡単に食事していくことにした。モスバーガーが出展していたのでバーガーを食べる。何もお土産を買わなかったので野沢菜などを買う。
 中央高速を飛ばして帰宅は8時15分。3日目の走行距離は602キロ。3日間の走行距離は1329キロになった。