リストランテ・トリノに祖父の魂を運んでくれたシメが食事に来た(Jan. 27, 2011)

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 昨夜は仕事や何かで午前3時まで起きていたので、目がさめたのは9時半だった。居間のカーテンを開けると庭は真っ白。しかし、さほどの積雪ではなかったから、明け方にでも降ったのだろう。ウッドデッキの手すりに薄く積もって朝日に輝いている雪を見ると、さらさらのパウダースノーのようだ。
 グレコ母さんの発案で小鳥のレストランをリストランテトリノと呼ぶことにした。最初は鳥のレストランということで、レストラン・トリノだったが、トリノならばリストランテだろうとぼくが変更した。庭の木の枝に4つのカゴを吊るして、早朝からの客たちのために夜にヒマワリの種を補給しておく。客で多いのは雀、シジュウカラカワラヒワといった小鳥だが、ヒヨドリイカルなど少し大きな鳥たちもやってくる。
 今朝見れば、シメが食事していた。シメには想い出がある。
 もうだいぶ昔のことだが、3月に祖父が亡くなり、そのお葬式の日はめずらしい大雪だった。父が、祖父は善人だったのに何でこんなに雪が降るんだ、と嘆いていたが、ぼくは逆の感想を抱いていた。祖父が善人だったからこそ雪が降ったのではないか。階下の葬式の準備をする大人たちの話声や物音を聞きながら、よく祖父が丸眼鏡をかけて新聞を読んでいた2階の部屋の窓から雪の降る外の景色を眺めていたぼくは、隣の家の畑の葡萄棚に薄茶色の、雀よりも少し大きいくらいの小鳥が羽毛を膨らまして止まっているのに気がついた。そのときはその鳥の名前は知らず、後で鳥類図鑑を調べてシメという鳥だとわかったのだが、その鳥を目にした瞬間、ああ、この鳥は祖父の魂を迎えにやって来たにちがいないと思った。
 もうずっと昔の忘れ得ぬ想い出である。