旅する猫(Jul. 27, 2011)

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 甲府駅で乗り換えの電車を待っていると、旅する猫がいた。客たちは、まあ、かわいい、おとなしくしているわねえと頻りに感心していた。主人は、手が出るようにすると逃げられるので出せないようにしている、おとなしいのは諦めているからでしょうと言っていた。
 昔「ハリーとトント」という映画を観て以来、猫と旅したいとずっと念じてきた。十数年前にわが家で最初に飼ったインカと名付けた猫はお利口さんで、車のドアを開けると乗り込んできて、八王子から軽井沢まで旅してくれて、一週間軽井沢に滞在し、1日行方不明になったけれども仮の宿に帰ってきて、また八王子まで車で一緒に旅してくれた。わが家の伝説の猫である。
 インカはある日不意に現れた。ある日、近所の河原で猫のものと思われる髑髏を拾って家に持ち帰った。博物学者のように髑髏や何やらを部屋に飾っておきたかったのである。しかし、グレコ母さんが気持ち悪がり、仕方がないので埋葬してやったのだが、そうしたらその日か翌日に見知らぬ猫がマンションの階段に現れた。インカである。まるで落語の「野ざらし」のような話だが、本当にあった話である。