冬至の日の黄昏(dec. 22, 2011)

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 時刻はまだ4時を少し回った頃だが、すでに地上は翳ってきた。空が明るいうちに散歩に出ようと玄関のドアを開けると、冷たい風が襟首からさっと侵入してきたものだから一瞬怯んだ。止めようと思ったが、今日はあまり歩いていない。歩いているうちに体も火照ってくるだろうと勇を鼓して歩き出した。
 南アルプスはすっぽり薄紫色の雲に覆われている。雲が巨大な壁のようにも、山脈のようにも見える。森も家々も次第にシルエットになってゆく。見上げると、欅の巨木が裸の枝を大きく広げている。詩人の富永太郎だっただろうか、神経組織のように空に広がる細い枝ことを過敏過ぎる感受性で詩っていたのは。遠く、家路を急ぐ車のライトが見え隠れしているが、人っ子一人いない。離れた森の上空を大きな鳥が啼きながら何匹も旋回している。何か争いが勃発したようだ。雲がかすかに色づき始めた。薄い茜色の雲が灰色になるときが長い夜の到来だ。