南風は柔い女神をもたらした(feb. 2, 2014)

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 朝、居間の雨戸を開けると雨が降っていた。雨が凍てついた庭の土をやわらかく濡らしているのを見て、高校一年の国語の教科書にあった西脇順三郎の「雨」という詩を思い出した。

 南風は柔い女神をもたらした。
 青銅をぬらした、噴水をぬらした、
 ツバメの羽と黄金の毛をぬらした、
 潮をぬらし、砂をぬらし、魚をぬらした。
 静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした、
 この静かな柔い女神の行列が
 私の舌をぬらした。

 古いお椀にヒマワリの種を入れてリストランテトリノの餌皿にいっぱいにしてやろうと、スリッパをつっかけて庭に下りると土が実際にやわらかくなっていた。
 雨はやがてやんだが、曇っていたので午前中は仕事をしていた。昼が近づくと庭が明るくなり、森の木々についた水滴がきらめき、仕事に集中できなくなった。しかし、午前中は何とか持ちこたえて、昼を済ませてからカメラを下げて散歩に出かけた。
 朝の雨はやはり南風がもたらしたようで風が温かった。日陰の凍結していた雪も溶け始めた。しばらく歩いていない信玄棒道へ向かったが、ミケッコがついてくる。S夫人とおしゃべりしていると、ミケッコが庭に入ってしまった。S夫人に追い出してもらおうと思ったが、庭は鹿や猪避けに網がめぐらしてあり、夫人が近づくとかえって庭の隅に逃げて出られなくなってしまう。しかたがないので夫人には家に入ってもらい、ぼくがミケッコを入口に誘導して何と出すことができた。それやこれやで散歩は中断して家に引き返さざるをえなくなった。
 気温があがり陽光もぽかぽかしているのでウッドデッキではミケッコのこどもたちが気持ちよさそうに根をつむっている。ぼくにきがつくと薄目を開け、大きくアクビする。
 庭の土はだいぶやわらかくなった。霜柱で盛り上がったまま凍結していた部分にのるとずぼっと凹む。庭の様子をチェックしていると、猫たちがお手伝いにやってくる。そのまま猫たちと森を散歩する。エナガだろうか、数匹の小鳥の群が頭上を枝から枝へと鳴き交わしながら忙しなく飛び回っている。