紛失したiPhoneを追跡する(Jun. 9, 2016)

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 昨日帰宅するとiPhoneが見当たらなかった。いつものように家のどこかにあるだろうと探したがない。電話をかけて振動音で場所を特定しようとしたがそられしい振動音はどこからもしなかった。家の周辺、とくに庭も念入りに探したがない。
 今朝になって昨日帰宅途中に紛失したらしいことに気がついた。MaciPadiPhoneを探すを起動すると、甲府市のあることがわかった。昨日オートバイで走って帰ったルートからかなり離れた場所だ。ときどき位置が変わる。iPhoneの電波が出ている場所の近くに駐在所があるのでもしや取得物として届けられたのかと期待したが、地図を拡大すると駐在所から離れている。
 昼近くドコモへ電話して通話などができないように止めてもらう。しかし、止めてしまうとiPhoneを探すが昨日しなくなるので再開通してもらった。念のためにiCloudのパスワードへ変更した。
 昼食後ドコモショップに立ち寄り、紛失後誰かに通話などで使われたかチェックしてもらう。幸い、一度も使われていない。
 ドコモショップを出た後、iPhoneのある場所を確認しながら、自分で追跡してみようかと思い至った。甲府およびその周辺の市町村は不案内だがナビがなるからなんとかなるはずだ。
 長坂インターから中央高速に入り甲府南インターまで走る。甲府南インターからiPhoneの電波の出ている場所はさほど遠くない。しかし、その場所へ向かっているうちに場所が変わったことに気づいた。ナビの目的地を再設定して、電波が出ている農園カフェに向かう。隣のコンビニの駐車場に車を停めて、カフェの前で水撒きをしている青年に実は訳を話してiPadの地図を見せると、いつの間にかiPhoneの場所が移動していた。
 青年が川岸に狭い道があり、そこではないですかというので、車を置いて徒歩でその場所へ向かう。強烈な日差しが降り注ぎ気温も上がった。両側に夏草の茂る乾いた砂埃が積もった道を歩く。人家はなく、もしもiPhoneのある場所が正確に地図上に示されているとすれば、夏草の茂みの中のようだ。この夏草の中に投げ捨てられているとしたら、よほど運が良くなければ到底見つからない。見つけるためには人海戦術しかなさそうだ。
 絶望的な気分のままiPhoneを探すを起動すると、また墓所が移動している。相手は車ででも移動しているのか、そのときは二本の並行して流れる川の間にいたが、すでに川向こうに移動していた。しかし、その場所の地図を拡大すると、iPhoneの小さなアイコンが比較的大きな長方形の建物の中にあることがわかった。取得した人物が家か職場に帰ったにちがいない。残念なのが途中でiPhoneの電池がなくなったことで、再度移動されたら追跡ができなくなってしまう。
 こうなるとその場所へ飛んで行きたいが、人を突然訪ねてiPhoneを拾いませんでしたかということは易いが、下手をすればトラブルになりかねない。そこで警官の助けが必要だと判断して車のナビで警察署を調べて行き、同行を頼むことにした。
 警察署に向かう途中、スポーツ公園の脇に駐在所があった。警官の制服は着ておらず、相談員という腕章をした年配の人がいた。定年後に嘱託で勤めている人だろうか。相談に来た理由を話すがなかなか飲み込んでくれない。とりあえず遺失物届けを出すことにした。自分で追跡することに夢中になり提出を忘れていた。ぼくの話をようやく飲み込んでくれたが、警察署の指示を仰がなければならないのか電話を再三かけるが、説明が下手なのがもどかしい。ぼくが代わって話しましょうかと言おうと思ったが、そのまま任せる。小学生が入ってくる。どうやら水筒の水を飲みたいのだが、駐在所の中で飲んでいいか訪ねている。いつも学校帰りの小学生に場所を提供しているのだろう。しかし、今日は忙しいから家に帰って飲みなさいと、受話器を耳にあてながら少し苛立ったように言っている。小学生の目にはぼくが悪い人に見えたのかも知れない。
 時間をかけ電話で説明し、iPadに表示されたiPhoneのある場所の地図と駐在所の地図を見比べてだいたいの場所を特定したようだが、結局隣の笛吹市警察署の管内だということがわかり、笛吹署にこれからぼくが向かうことを伝えてもらう。
 気温の高い時間帯に歩いたりしたので疲労を覚えたが、笛吹署に向かいながら何だか面白いことになったなと思わず笑いがこぼれた。iPhoneを取得した人、あるいは持ち逃げした人が見つかれば何か探偵にでもなったようじゃないか。
 石和の笛吹署に入ると、すぐの対応してくれた。iPadの地図を見せると、PCの地図ですぐに場所を特定してくれて、これから行きますからパトカーの後についてきてくださいという。年配のメタボ体型の警官と背の高い若い警官の乗るパトカーに続く。途中、飛ばしていた原付がすれ違うときに大きく減速するのを見て笑ってしまう。
 住宅や葡萄棚の間の狭い道を行くと、その場所があった。大きな建物だと思ったのは、大工さんの作業場だった。仕事をしていた中年の男性に年配の警官が声をかけてやさしい口調でiPhoneの電波がこの建物内から出ていることを説明している。建物を奥に行くと、そこの主人の家があり、おばあさんも出てくる。猫も2匹出てきた。少し前に帰ってきた主人の奥さんらしい人も二階の部屋から降りてきた。奥さんの手には自分のiPhoneが握られている。ものをひっくり返してまで探したわけではないが、ぼくのiPhoneはどこにもなかった。
 警官が誰か来ませんでしたかと行くと、電気工事のお兄ちゃんが木を買いに来たよという。年配の警官がぼくにその店にも行ってみましょうというのでまたパトカーの後に続く。
 時刻は5時を過ぎていた。電気工事の店は事務所が2階にあり、警官たちが階段を上って事務所に事情を説明しに行く。開いた窓から、おや、パトカーが来ているよなどという声が聞こえる。警官が大工さんの所に寄ったらしい若い人と一緒に階段を下りてきて、駐車場に停めてある彼が使っていた軽トラに向かう。荷台な度のチェックが始まる。年配の警官があなたを疑っているわけではないが、申し訳ないが調べさせてもらいますなどと言う。いつの間にか階段の踊り場には青いツナギを来た数人の同僚がタバコなどを口にくわえながら様子を面白そうに見ている。皆がが1日の仕事が終わった開放感から、軽口を叩き、ああだろう、こうだろうと口を出す。見事なハゲの年配の人が登場し、社長さんか何かだろう、お前、気持ち悪いから、その箱なども開けて見てもらいなと促す。おじさん(ぼくのことだ)にも見てもらいなとも言うが、真面目そうな青年だったし、あるとも思えなかったので少し離れた場所で静観していた。
 見つからないのは悔しかったし、困ったことになったが、何か面白い経験をさせてもらった。