棒みちにはミニチュアのグランドキャニオンが(Oct. 2, 2018)

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 気持ちの良い天候なので近所を半時間ほど散歩してきた。
 リシェンヌ(もとは雑貨店だったようだが現在は空き家)へ向かう道にはどこからか湧いてきた水が流れていた。台風雨が溢れているのだろう。それにしても小道は荒れている。夏草が厚く茂っている。丈高い雑草の間に、シデシャジン、ノコンギクリュウノウギクが咲いていたのがせめてもの慰めだ。もともと人通りのほとんどない道ではあったが、もう物好きな犬の散歩者も通り抜けないのだろう。
 Sさんの前の道も荒れている。フレンチウィンドウのカーテンは開いていたので住んでいるのだろうが、広い庭も手入れがまったくされていないようだ。心臓が悪くて甲府の病院へ入院していたが、それを知ったのはもう一年も前のことになる。退院してもどってきているのか、それともまだ入院しているのか、ときどき散歩の折に様子を知りたいと思うが家から誰も出て来ないのでは尋ねようもない。
 Sさんの家の門側に山に向かって続く棒みちは雨水によって深く抉られ、ミニチュアのグランドキャニオン状態だ。車高の高い車でなければ通行は不可能だろう。玄関先にある品田さんの車を目にして、もう長い間走っているのを見ないが、いかにも車高が低そうだしとても走れまいと思った。買い物などはどうするのだろうか。よほど玄関ベルを押して、もし困っているならば買い物などお手伝いしますよと申し込もうと思ったが、結局やめた。以前、病院へ向かい奥さんと電車の中で会ったときに、電話番号を教えて、何か困ったことがあったら遠慮なく連絡くださいと申し出たが、長く、四十年以上この地に住んでいるから誰か手助けをしてくれる人がいるはずだからだ。
 棒みちはアスファルト舗装などが許されないということを聞いたことがある。当然である。棒みち沿いに別荘などを建てた人たちは覚悟の上だろう。しかし、棒みち沿いの木々が切り倒され新しい家が建っているのを見ると、正直がっかりする。十年前にこちらに移転したときは、棒みちを散歩しながら、良いところに引越してきたと誇らしかったけれども、今日も木々が切り倒されて更地になっているのを目の当たりにすると誇りは失望に変わり、怒りと諦めの気持ちが広がった。