厳粛な気持ちになる(Sep. 18, 2018)

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 朝起きて、ベッドに寝ていたタンちゃんと階下へ降りると、居間を猫がふらふらと歩いている後ろ姿が目に入った。一瞬、モカちゃんかと思ったが、お父ちゃんである。お父ちゃんと呼ぶのはたぶんタンちゃんやモカちゃんの父親だからで、八王子からこちらに移った10年ほど前から近所の野良猫の親分でもある。うちの猫たちを威嚇するし、マーキングするので、いつも追い払ってきたものだから、いつもならばぼくの姿を見れば逃げ出すはずなのだが、今朝は逃げる様子もなくふらふらとゆっくり玄関へ向かって歩いている。ひどく痩せさらばえ腰骨がはっきり浮き出し、山なりになって背骨も痛々しく、毛は汚れて逆だっている。て
 しばらくすると庭にまわりウッドデッキにのぼってくると朝日の当たっているところで動かなくなった。相当弱っている。ラインでグレコ母さんに知らせると、水をあげてとあったので、餌を水を置いて居間に引っ込むと、ゆっくり立ち上がって餌のにおいをかいでいたが少し食べたものの食欲もないらしい。見ると、左の前足の付け根に近い部分に傷があるらしく黒く変色していた。一昨日の夜から帰らないモカちゃんも左の前足に傷があるようだったし、モカは仲の悪いタンちゃんと喧嘩したと思っていたが、もしかしたらお父ちゃんと激しい喧嘩をしたのかも知れない。
 モカはどこへ行ってしまったのだろうか。ボロボロのお父ちゃんの姿を見ながら、甘えん坊なモカのことがいよいよ心配になってきた。もうどこかで死んでいるのではないかなどと不吉なことばかりが頭を過る。近所を少し歩いてみた。草むらなどを探していると遺骸を探しているようで嫌になる。アケビがのんきに大口を開けていた。
 昼を過ぎてもお父ちゃんはウッドデッキでじっと動かない。まるで終焉の時を待っているかのようだ。香箱座りをしていたが、鼻の先が床に触れんばかりに頭を垂れている。そのまま息絶えるかのようだ。そのうち平たくなって寝てしまう。頭の周りを無数の香が飛び交っている。ときどき心配になり窓から覗く。腹がかすかに上下しているのを見てホッとする。蚊取り線香に火をつけておいてやる。
 家にいても落ち着かないので清泰寺へ彼岸花の撮影に行く。昨年は時期を少し外してしまったが、今年はちょうと見頃であった。誰もいない境内で撮影を楽しむ。
 帰途、ロプチュでチャイを飲む。グレコ母さんのフェルト作品が2点売れたというので知らせると喜んでいた。孫と同い年ぐらいの女の子を連れた女性とおしゃべりをする。やはりほぼ同い年であるが、わが家の孫の方が成長が速いようだ。
 帰宅するとお父ちゃんはまだウッドデッキで寝ていた。近づくと頭をめぐらしてこちらを見たが、逃げる様子もない。目もあまり見えないのかも知れない。あまりにも哀れなのでちゅーるちゅるという液状の餌をやると、急に食欲が出たようによく食べた。しかしすぐまた深く頭を垂れた香箱座りである。その終焉を待っているかのような姿に厳粛な気持ちになる。明日まで生きているだろうか。
 それにしてもモカはもう二昼夜帰らない。